那須塩原市・西那須野の美容室

不自由な日常に光を

ブログを更新するのは随分とひさしぶりになってしまいました。

去年から続く新型コロナウイルス について、再度の緊急事態宣言を受けて

自分たちがどうあるべきか、どう振る舞っていいのか、どれがベストな形なのか、

頭が悪いなりに、小さなサロンなりに、ずっと考えていました。

 

他所のお店の心配をしてる場合ではないのだけれど、

前回の緊急事態宣言から、少しずつ空き店舗が増えて寂しくなっていく街の景色を見ながら

近くのお店や昔の友人のやっている飲食店、昔通っていたカフェや最近知ったレストランなど

今はなんとか続いているお店も、消耗しきってお店をたたんでしまわないか心配になった。

 

人に好きになってもらい、繰り返し訪れてもらってやっとなんとか続いていくような仕事、

というところは職種は違えど自分たちの仕事も似たようなところがあって

完全に人が途切れることはそうなくとも、案外、ギリギリのバランスで成り立っている。

 

自分が好きなお店や、続いて欲しいと思えるお店がなくならないように、

こんな状況だけど足を運ばなきゃなぁっていう個人的な思いがあって

とりあえず、あのお店は大丈夫かなと思ってSNSを見てみると

案の定、夜8時以降はお店を休むことになったことを知り、なんとも言えない気持ちになった。

それならなんとか夜8時までにたどり着こうと思って、なかなか予約の入らないサロンを早く閉めて向かったりして

ほんの少しの時間だけど、食事をしながらマスク越しに会話をして、頑張ろうって改めて感じる事が出来た。

 

以前までは、こういったコロナ禍に置けるちょっとした自分の思いや行動も、

誰かから文句をつけられてしまうのではないかと思って、どこにも書けなかった。

自分のお店の事に関しても、決して自分たちが心から望むものではなく、自分たちが悩みながら考えて出した選択ですら

サロンに来たこともない誰かによって、サロンに来てくれているお客様が嫌な思いをされてしまうのが嫌で書かなかった。

 

元々、人の価値観や正義やカワイイすらもそれぞれで、

一人一人のそれに合わせてより良いヘアスタイルを作っていくことを生業をしているのが僕たち美容師の仕事だけど

何に影響されて、何を正義としているのか、そういった人の極端さもそれぞれで

いつしか誰かのストレスが言葉の刃になって、違う誰かに向けられることがいつからか当たり前になってしまった。

そもそもが曖昧なままの基準なんて日々変わっていってしまう中で

もうこれ以上、一体どこをどう気をつければいいのかわからないまま、

それでも自分は、もういい加減、シンプルに自分たちが正しいと思える姿でいようと思った。

 

感染拡大をできる限り抑えるためにできる努力はしていくけれど

そのために自分たちや自分たちの住む街の店が、客足が途絶え少しずつ元気がなくなっていく姿を見過ごすことは出来ない。

「どんなに貧しくなっても、耐えぬきなさい」

なんて、実際にその立場にいないからこそ言えることだと思う。

当たり前の毎日が、明日も普通に続いていくとは限らないなんて、コメンテーターより当事者である僕たち民衆はずっと知っている。

明日が見えない中で、それでもそんな大きな不安の闇に押しつぶされないようにみんな日々生きている。

今の自分たちだって、いつどんな事があって働けなくなるかわかったもんじゃない。

いい加減、先のことを考えないといけないのはわかっていても、どの方角に舵を切ったらいいのかわからないまま

再度の緊急事態宣言の真っ只中にいる。

 

自分たちにできることを考えながら、目の前でできるちょっとした消費をやめないまま、

自分たちも含めたなるべく多くの人が持ちこたえられるように祈り願いながら

当事者になり得ない誰かに何を言われようと、サロンも自分たちが正しいと思える姿で生きていきたい。

 

昨日思っていた「普通」が少しずつずれていって、「異常」に変わっていくような感覚は

2020年から私たちにとって身近な感覚になってしまっている。

時代の掲げる「普通」は時として強烈な相互監視を生み、また理不尽に原因を求めすぎる性質のせいで、

感染症の陽性者は、きっと遊び歩いていたんだとか、よくない行動をしていたんだから悪い奴に違いない、なんて

いわれのない差別や、根拠のない誹謗中傷までまかり通ってしまっている現状に、

心が痛みを感じない方が「異常」な世界であって欲しいと願いながら、

少なくとも自分たちだけは、その感覚が当たり前じゃない世界で生きていこうと思う。

 

誰もが誰かを告発し合うような社会では、足の引っ張り合いしか起こらない。

もっと当たり前に、支え合い、庇い合えないものだろうか。

こんな事態で、「耐える」という以外の選択肢がない世界で、

僕たちはどうやって自分の人生を生きられるのだろうか。

いい加減、気の持ちようで人生を明るく見つめ直すような精神論にはうんざりしていて

時代に十分に翻弄されていくのは抗えないけれど、その中で自分たちが選ぶひとつひとつのことに光を探していきたい。

美容師である自分たちができることなんて限られている。

それならばその限られたことを美容を通じて、許される限り尽くしていこうと思う。

 

シャネルのNo.5が発売されて今年でちょうど100年が経ちます。

「古い価値観にとらわれない自由で自立した女性像」をポリシーとするシャネルは

“美しさは、あなたがあなたらしくいると決めた時に始まる” と残しました。

僕たちが生まれるずっと昔には、

女性が自分の意思で自分の人生を歩む事が不可能な時代は確かにあって、

そんな時代を背景に生きた女性が、自分の人生を歩むと決めたときの煌めきや美しさというものは

きっと他の何にも変えられないほど眩しいものであったんじゃないかと思います。

 

今の時代も背景には沢山の複雑な問題があるけれど、人間の本質的なものは100年前とそう変わらない気がする

不自由の中の希望が持つ力には、今日の日の世界とつながる何かがあるような気がします。

「耐え抜くしかない」という選択肢や、誰かの指示を待つこと、政府を頼り助けを乞うのでもなく、

暗に決められてしまったような自己ルールをそろそろ撤廃して僕たちは歩を進めていく。

自分たちの正しさの先にある光を求めて、今日までの思いをここにおいていくことにします。

 

それでは。

代表 岡田