那須塩原市・西那須野の美容室

教えることは教わること

こんにちは。栃木県那須塩原市の美容室hairsalon iLii 西那須野で美容師をしている岡田です。

昨日はサロンをお休み頂いて、東京の専門学校の講師の仕事をしてきました。

教えることとは教わること

こう見えて(どう見えてるかわかりませんが)岡田は美容専門学校の外部講師を勤めています。

自分自身、講師としての仕事は3年目になります。

自分自身の力を試したいと思いサロンの看板を背負うのをやめ、フリーランスとして活動した年に、以前から興味があった「教育」の仕事をしたいと思いました。

自分の職務経歴書とスタイルブックを抱えて講師としての面接に行ったのがきっかけで、そこから美容学校の講師の研修を経て、講師の免許を取って僕の担当授業を持たせてもらえたのが3年前。

去年に東京を離れ、那須に自分のサロンをオープンしてからも、こうしてお声をかけていただけるのは本当にありがたいことだなと思います。

オープンしたばかりのサロンの状況もあるので今年は担当授業の回数を減らしてもらいましたが、新たにこれから美容師になるために真剣に学ぶ生徒たちの顔をみると、もっとやっとけばよかったなって思います。

今年はカラーカットの授業を担当させて頂いて、第1回目の授業はカットをやりました。

毎年思うことですが、生徒たちは「こんな僕」の教えることを真剣に学んでくれていて、(僕の専門学校時代の方がよっぽどちゃらんぽらんだった気がします)

だから一つ一つの伝えることに熱が入るし、教える側として少しでも多く学んで欲しいと思うし、少ない時間だけど何か役に立てることとか、カットって楽しいって思えることを生徒たちの心に残してあげたいなと思います。

だから、実際には僕自身もまだまだ美容師としての課題は山積みなんだけど、「こんな僕」って言ってたら僕から教わっている生徒たちに失礼だから

僕自身ももっともっとしっかりした美容師や大人にならなきゃなって思うし、

真剣に技術を学ぶ姿勢や、上手に出来たときの嬉しそうな顔を見て、改めて美容は楽しいってことを、いつも彼らから教わって帰りの電車に揺られています。

守破離の教え

僕自身、15年間美容師をしているけれど、まだまだ学ぶことや自分がやらなければいけないことって沢山あるなと感じていて、

もちろん彼らのように真っ直ぐにきる技術や、綺麗にカラーを塗る技術は身についているんだけれど、僕自身のステージを次に次に進ませなければいけないと思っています。

守破離の教えでいうところの、彼らは「守」の入り口にいて、僕が目指して行くのはそこではなく「破」であり、「離」のステージです。

基礎を指導者の教えを「守」り習得し、自分のオリジナリティーを磨き更にそれを「破」り、そこから「離」れて新しい時代の美容を発展させていくこと。

いつかの記事でも書いたけれど、この世界での現状維持は衰退するだけで、新陳代謝の早い業界だからこそ、

自分が新しいものを作らなきゃ発展しないし、美容師としての経験や歴史の上にあぐらをかいていちゃダメだなって本当に思うんです。

答えを人に求める人間は成長しない

昔の上司で、今でも尊敬する先輩が僕にはいるんだけれど、

その人は美容師としてめちゃくちゃ上手で賞も取ってるし、いつも周りに人が集まるような人としても優れている人なんだけど、

上手く出来なくて悩んでる後輩がいたとしても、自分から率先して教えることは決してしなくて、聞かれても曖昧な答えではぐらかすんですよ。

僕はその頃、サロンで新人のメンターや教育を担当してたから、新人に聞かれたらすぐに答えるし、答えられないことはいけないことだと思ってた。自分が知っている答えを教えてあげることが、それが「教えること」だと思ってました。

当時の僕はそんな風に思っていたから、上司なのに「教えてない」のをみると優しくないなって思って

「なんで困ってるのに教えてあげないんですか?」

って聞いたことがあったんです。もちろん、冗談混じりにね。

そしたらその上司は少し間をあけて

「答えを人に求める人間はそこから成長しないからね」

って、少し真面目に言ったんです。

新人にとっての「課題」と、ある程度経験を積んだ人の「課題」って、同じようなことで悩んでいたとしても悩みの本質はまるで違うもので、

その人が美容師として今どの段階にいるのか、これからどんな美容師を目指して行くのか、それによってその人に必要な答えって違うんだなって、恥ずかしながらそのとき初めて気が付いて。

あのとき僕が尊敬してる上司ならその答えも知っていて、多分、直ぐに答えを教えてあげることは出来たと思う。

だけど、そこで教えてあげることが「本当にその人の為になるか」って考えると、逆に足かせになってしまったりして。

きっと悩んだらまた自分以外の誰かに答えを求める人になってしまって、誰かがいなかったら自分で考えて答えを探すことが出来ない人間になってしまうと思う。

その人の置かれた立場やこれからのことを考えると、手取り足取り教えてあげることだけが「教育」ではないんだなってわかったんです。

だから、僕は専門学校の講師として生徒に美容を教える立場にいるんだけれど、

「教育者」としてみたら僕がやっているのって、本当の意味での「人の教育」ではないんだってことは分かっています。

だから、僕は生徒に対して僕のことを「先生」って呼んで欲しくないって最初に伝えています。

僕は教えているんじゃなくて、自分がやってきたことを伝えているだけだから。

マニュアル通りの人間と型破りな人間

美容師にはやることがたくさんあって、もちろんその分学ぶことがたくさん多い世界です。

だから、ある程度ここまでいったら人の髪切っていいよーって、髪染めてもいいよーって、お客さまに入っていいよーってマニュアルが、サロンの数だけあります。

だから皆、時間をかければ用意されたマニュアル通りには出来るようになる。

最初のうちの「出来る出来ない」の差なんてのは、それが早いか遅いかだけの話で、美容師としての差なんてないに等しくて

用意されたマニュアルをクリアしただけでは「出来る美容師」ではなくて「(マニュアルを早くクリア)出来た美容師」なんだよね。

マニュアル通りの美容師どまりか、人から教えられた「型」を破れるような美容師になるか。

自分の頭で考えられない人は「型」を破れないから、僕の昔の上司は手取り足取り教えることをしなかった。その代わり、考えるためのヒントになるようなもの、視野を広げる為に必要なものは積極的に勧めてた。

教える側が「守」の段階にいる人から学ぶことって、実はそんなにないんだよ。味のしなくなったガムをいつまでも噛んでいたいと思うかい?

自分の課題を自分で見つめ、自分の頭で考えて、悩みながら挑戦して、自分と向き合ってクリアしてきたことがない人間じゃなきゃ伝えられないことがあるから。

教えるって言葉で言うほど簡単なことじゃない気がするよ。

本当の意味での教育ってのはその先にあるものだと思うんだ。守破離でいう「守」から先のところ。

そこから先の教育って部分は、残念だけどたった数回では学ぶことも教えることも出来ない領域で、僕が生徒たちに教えられることに限りはある。

悲しいことだけど、僕の講師としての教育の限界はそこにあって、だからサロンでは「人の教育」ってのにiLiiは力を入れていかなきゃいけないんだ。

iLiiは「型」を破り、ともに成長してその先へいける美容師集団に、美容室になりたいと僕は思ってる。

どこまでいけるかわからないけど、僕は今いるスタッフ、これから出会うiLiiのスタッフと一緒にその先を作っていきたい。

そんなサロンの未来に、僕の教え子達がいてくれたら最高だなって心から思う。

生徒たちに教えることから僕が教わった気がします。

ありがとう。

残りの数回、僕の講師人生で後悔のないように、僕の限りを尽くして生徒たちに一生懸命伝えてきます。

 

それでは。

代表 岡田 彰大